問題2
一般の不法行為に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
他人に損害を与えた者の不法行為が成立するには、加害者がその行為時に、自己の行為が違法な行為であり、法律上の責任が発生することを理解することができる能力を有していることが必要である。
(イ)
一般の不法行為による被害者が加害者に損害賠償を請求する場合、立証責任は加害者側にある。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題3
一般の不法行為に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
会社員のAさんは、自宅マンションのベランダから誤って植木鉢を落としたところ、その植木鉢が下の駐車場に止めてあったBさんの自動車に当たり、フロントガラスを割ってしまった。この場合、BさんがAさんに対して損害賠償を請求するためには、Bさんが、Aさんに故意または過失があったことを立証しなければならない。
(イ)
高校生のCさんは、自転車で走行中に誤って通行人のDさんに衝突して負傷させてしまった。この場合、未成年者であるCさんは、いかなるときもDさんに対して損害賠償責任を負わない。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題4
一般の不法行為に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
緊急避難とは、他人の物から生じた急迫の危難に対して、自己または第三者の権利を防衛するためにその物を損傷する行為のことであり、違法性は阻却され不法行為とならない。
(イ)
精神上の障害により、自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、損害賠償責任を負わないが、故意または過失によって一時的にその状態を招いた場合は、この限りではない。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題5
一般の不法行為に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
(ア)
民法上の不法行為が成立するためには、加害行為によって現実に損害が発生していなければならないが、この損害には、得べかりし利益を喪失させた損害は含まれない。
(イ)
民法上の不法行為が成立するためには、正当防衛や緊急避難のような違法性の阻却事由がないことが必要である。
(ウ)
民法上の不法行為が成立するためには、その成立要件の1つとして、「加害行為と損害との間に因果関係があること」が挙げられている。
問題6
「責任無能力者の監督義務者等の責任」に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
責任無能力者の親権者、後見人等の「法定の監督義務者」は、原則として責任無能力者の加害行為について損害賠償責任を負うが、監督義務者との契約によって責任無能力者を預かる私立幼稚園の職員はその責任を負うことはない。
(イ)
責任無能力者が第三者に与えた損害を、その監督義務者が賠償した場合、監督義務者は、責任無能力者(加害行為者)に対して求償することができない。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題7
「使用者等の責任」に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
被用者が使用者の事業の執行にあたり第三者に損害を与え、使用者が第三者に対する損害賠償責任を負う場合、常に被用者自身にも不法行為責任が成立していなければならない。
(イ)
被用者が使用者の事業の執行にあたり第三者に損害を与え、使用者が第三者に対する損害賠償責任を負う場合、被用者に故意または重大な過失があるときに限り、使用者は、被用者に対して求償することができる。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題8
「土地の工作物等の占有者および所有者の責任」に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
(ア)
土地の工作物の設置または保存に瑕疵があったため他人に損害を与えた場合、その工作物の所有者が被害者に対して損害賠償責任を負うが、所有者が損害の発生を防止するために必要な注意をしたことを立証したときは、占有者が損害賠償責任を負う。
(イ)
土地の工作物等の占有者および所有者の責任について、占有者には免責の規定があるが、所有者には免責の規定がないため無過失責任であると考えられている。
(ウ)
土地の工作物等の占有者および所有者の責任で、占有者または所有者が責任を負う場合、損害の原因につき他にその責任を負う者がいれば、占有者または所有者は、その者に求償することができる。
問題9
「動物の占有者等の責任」に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
動物が、その占有者または管理者以外の第三者に損害を与えた場合、たとえ被害者側に過失があっても、その動物の占有者または管理者の過失相殺の対象とならない。
(イ)
動物の占有者または管理者が責任を負う場合の動物による損害には、人の身体に直接加えられた損害だけではなく、物を損傷したり他人の動物を殺傷したりするような物的損害も含まれる。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題10
共同不法行為に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
民法では、数人が共同して不法行為を行って他人に損害を加えた場合、それらの者は、損害の全額について連帯して責任を負うと定められている。
(イ)
自ら直接不法行為を実行していない者であっても、直接の加害者が不法行為を行った際に見張役を行った者(幇助者)は、共同不法行為者とみなされ、損害賠償責任を負う。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題11
共同不法行為に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
(ア)
加害者が不明の共同不法行為の場合で、被害者が、加害行為と損害との間の因果関係を証明せずに、その加害行為者全員に対して損害賠償を請求するためには、「共同行為者であること」「共同行為者のいずれかによって損害が惹起されたこと」および「各共同行為者が因果関係以外の不法行為の要件を備えていること」の3要件を備えることが必要とされる。
(イ)
共同不法行為が成立するためには、不法行為者間に意思の共通もしくは共同の認識のあることが必要である。
(ウ)
共同不法行為者は、被害者が被った損害の額に対し、各自の責任の割合に応じて弁済する義務を負い、各自がそれぞれ全部を弁済する義務を負うわけではない。
問題12
自動車損害賠償保障法(自賠法)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
(ア)
会社員のAさんは、X自動車販売会社から所有権留保方式により購入した自動車を運転中に、誤ってBさんが運転する自動車に追突し、Bさんを負傷させてしまった。この場合、X社は、Bさんに対して運行供用者責任を追う。
(イ)
Y自動車修理工場の従業員のCさんは、顧客から修理のため預かった自動車を試運転中に、誤って歩行者のDさんに接触し、負傷させてしまった。この場合、Y社は、Dさんに対して運行供用者責任を負う。
(ウ)
会社員のEさんは、エンジンキーを抜き、かつ、自宅の車庫に施錠して被保険自動車を厳重に保管していたが、泥棒が車庫のシャッターを破壊し、この自動車を盗んで運転したところ、歩行者のFさんをはねて重傷を負わせてしまった。この場合、Eさんは、Fさんに対して運行供用者責任を負う。
問題13
製造物責任法(PL法)に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
この法律では、製造業者等が製造物を引き渡した時点における科学または技術知識の水準では欠陥があることを認識できなかったことを証明した場合でも、その製造物の欠陥により他人の生命、身体または財産を侵害したときは、その製造業者等は、被害者に対して損害賠償責任を負う。
(イ)
この法律では、製造物の販売または流通のみを行う業者が、自らその製造物の製造業者と誤認させるような表示をした場合であっても、その製造物の欠陥による他人の生命、身体または財産の侵害によって生じた損害については損害賠償責任を負わない。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題14
製造物責任法(PL法)に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
この法律では、被害者保護のために「欠陥責任」が採用されており、被害者は製造業者等の過失を立証する必要はなく、「損害の発生」「当該製品の欠陥」「欠陥と損害との因果関係」を証明すれば、損害賠償を請求することができる。
(イ)
この法律において、欠陥とは、その製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、欠陥に該当するかは「その製造物の特性」「通常予見される使用形態」「引き渡した時期その他のその製造物に係る事情」を考慮して判断する。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題15
国家賠償法(国賠法)に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
国または公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務上、故意または過失によって違法に他人に損害を与えた場合、被害者は、加害者である公務員個人に対し、損害賠償を請求することができる。
(イ)
公の営造物の設置または管理に瑕疵があったために他人に損害を与えた場合、他に損害の原因について損害賠償責任のある者がいるときであっても、国または公共団体は損害賠償責任を免れることはできない。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題16
失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
借家人のAさんが失火により借家を焼失させてしまった。この場合、Aさんに重大な過失がないときでも債務不履行責任が発生し、Aさんは、被害者である家主に対して損害賠償責任を負う。
(イ)
責任無能力者である未成年者のBさんが失火により、隣に住むCさんの建物を焼失させてしまった。この場合、Bさんの親権者であるDさんにBさんの監督について重大な過失がなければ、Dさんは、Cさんに対して損害賠償責任を負わない。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題17
特殊の不法行為に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
(ア)
Xレストランの従業員のAさんは、料理を配膳する際に誤ってスープをこぼし、客であるBさんの洋服を汚してしまった。この場合、Xレストランが使用者等の免責事由を立証できないときは、XレストランのみがBさんに対して損害賠償責任を負い、Aさんは損害賠償責任を負わない。
(イ)
会社員のCさんは、Y社が所有し、Z社が占有するビルの脇を歩いていたところ、はがれ落ちてきた同ビルの外壁タイルが頭にあたり、大ケガを負ってしまった。この場合、Z社が損害の発生を防止するために必要な注意をしたことを立証したときは、Y社、Z社のいずれもCさんに対して損害賠償責任を負わない。
(ウ)
救急隊員(地方公務員)のDさんは、救急車を運転し交通事故現場へ向かう途中、誤ってEさんの自動車に衝突して損傷させてしまった。この場合、国家賠償法の規定により、Dさんを雇用している地方公共団体は、Eさんに対して損害賠償責任を負うが、直接の加害者であるDさんは、Eさんに対して国家賠償法上も民法上も損害賠償責任を負わない。
問題18
特殊の不法行為に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
会社員のAさんは、重大な過失により火災を発生させ、隣家のBさん宅を類焼させてしまった。この場合、Aさんは、Bさんに対して損害賠償責任を負う。
(イ)
X建設会社の従業員のCさんは、建築現場で作業中に、通行人のDさんを誤って負傷させてしまった。この場合、X社は、Cさんの選任および監督について相当の注意をしたことを立証できないとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったことを使用者が自ら証明できないときは、Dさんに対して損害賠償責任を負う。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題19
特殊の不法行為に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
土地の工作物の設置または保存に瑕疵があったため他人に損害を与えた場合は、その工作物の所有者が損害賠償責任の第一次的責任者であり、所有者が免責されたときに占有者が第二次的に損害賠償責任を負う。
(イ)
責任無能力者が第三者に対して加害行為を行った場合、その監督義務者は、監督上の義務を怠らなかったこと、または義務を怠らなくても損害が生ずべきであったことを立証できなければ、被害者に対して損害賠償責任を負う。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題20
特殊の不法行為に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
被用者が、使用者の事業の執行にあたり、誤って隣家を焼失させた場合、失火責任法の規定により、その失火につきその被用者に重大な過失があり、使用者がその被用者の選任・監督について相当の注意をしたことを使用者が自ら証明できないとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったことを使用者が自ら証明できないときは、使用者は、隣家の所有者に対して損害賠償責任を負う。
(イ)
他人のために自動車を運転する被用運転者が、過失により交通事故を起こした場合、その運転者は、直接の不法行為者として、民法上の責任を負うことになるが、自賠法上の運行供用者責任は負わない。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題21
特殊の不法行為に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
動物がその占有者または管理者以外の第三者に損害を与え、その動物の占有者と管理者の損害賠償責任が競合する場合には、両者は、不真正連帯債務の関係に立つことになり、占有者と管理者のそれぞれが連帯して責任を負う。
(イ)
共同不法行為者のうちの1人が被害者に対して債務の全部を弁済した場合、その弁済を行った者は、他の共同不法行為者に対して弁済した全額を求償することができる。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題22
不法行為による損害賠償に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
(ア)
過失相殺とは、不法行為の被害者が、損害を被った原因と同一の原因によって利益を受けた場合に、この利益の額を損害額から差し引いて損害賠償額を算定することをいう。
(イ)
損益相殺とは、被害者が過失により損害の発生や拡大を助長した場合に、損害賠償額を算定するにあたり、損害賠償額の減額が認められることをいう。
(ウ)
素因減額(素因減責)とは、損害の発生または拡大に被害者の心因的要因または体質的要因が寄与していると認められた場合に、被害者の素因を斟酌して加害者の損害賠償額を減額するとした考え方をいい過失相殺と同様、当事者間での公平な損害分担という立場に立つ。
問題23
不法行為による損害賠償に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
生命の侵害による財産的損害には、死亡に至るまでの治療費、合理的と認められる範囲内の葬式費用などの積極的損害と、消極的損害(逸失利益)がある。
(イ)
慰謝料請求権は、生命、身体、自由または名誉が侵害された場合に認められるほか、財産権が侵害された場合にも、精神的苦痛が極めて大きいときに限り認められることがある。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題24
不法行為による損害賠償に関する次の記述の正誤の組合せとして、正しいものを下記の選択肢の中から選びなさい。
(ア)
過失相殺の適用にあたり被害者が未成年者である場合、その過失を斟酌するには、その未成年者に事理弁識能力だけでなく、自分自身の行為の意味やその結果を認識できる責任能力が備わっていることが必要とされる。
(イ)
損害賠償額の算定にあたっては、過失相殺をするか否かは裁判官の自由裁量とされ、裁判官は、訴訟に現れた資料に基づいて被害者の過失を認めるべきときは、賠償義務者からの過失相殺の主張がなくても、職権をもって過失を考慮することができる。
【選択肢】
A.アおよびイともに正しい。
B.アは正しいが、イは誤っている。
C.アは誤っているが、イは正しい。
D.アおよびイともに誤っている。
問題25
不法行為による損害賠償に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
(ア)
不法行為の被害者が損害を被った原因と同一の原因によって利益を受けた場合には、その利益は「損益相殺」して損害賠償額を算定するが、被害者が受け取った生命保険金または火災保険金は、「損益相殺」の対象とはならない。
(イ)
不法行為によって被害者本人が死亡した場合、その相続人である被害者の父母、配偶者および子は、加害者に対する固有の慰謝料請求権を取得するが、被害者本人が死亡したことによって得た損害賠償請求権を相続することはできない。
(ウ)
不法行為による損害賠償請求権は、人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権を除き、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しないとき、または不法行為の時から20年間行使しないときに時効により消滅する。
コメント